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デジタルカメラを使いこなすコツのあれこれを紹介

迷惑防止条例で、もはやストリートスナップは撮れないかもしれない

   


「着衣の全身撮影」で逮捕 不用意に女性を撮影してはいけない

電車内の女性盗撮、着衣姿でも逮捕の背景は……もう街では写真を撮れない!?

2つともに、同じことを扱った記事です。最初の記事はちょっと煽り過ぎなタイトルですが、内容としては同じです。

 痴漢や盗撮などの性犯罪について詳しい弁護士の久保正昭氏は、次のように解説する。
「各自治体の迷惑行為防止条例において、盗撮等を禁止する条文を調べてみると、主要な部分はほぼ同じで、『何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせる行為を禁止する』と規定されています。今回の事件も、女子大学生が『恥ずかしい思いをさせられた』『不安を覚えさせられた』と訴えたことが逮捕の決め手となっています。また、USBメモリーの形をしたカメラを用いていることから、わいせつ性のある盗撮を目的としていると判断された可能性があります」
 つまり、撮影された側の主観が大きな要素となっているのだ。
盗撮は痴漢よりも重罪?女性を無断で撮影すると逮捕される危険も…わいせつの基準は?

盗撮を取り締まる法律がないので、迷惑防止条例で取り締まっているのが現状で、迷惑防止条例はどの撮影がOKで、どの撮影はNGなのか、という流れから、そもそも撮影していなくてもNGだ!というのが今回の趣旨です。

「不用意に他人を撮影すると、誰もが捕まりかねません。迷惑行為防止条例は、女性の下着や身体を写して恥ずかしい思いをさせたり不安を抱かせた場合に適用されます。『身体』とは洋服を着た状態も指すので、街で通行人の女性を撮り、警察を呼ばれたらアウト。カメラやスマホを向けただけ、シャッターを切らなくても捕まります」と警鐘を鳴らす法律家もいる。
盗撮は痴漢よりも重罪?女性を無断で撮影すると逮捕される危険も…わいせつの基準は?

街中での撮影は、上の引用のような極論にもなりかねません。
ただ、迷惑防止条例の目的は性犯罪の抑止にあるので、単なるストリートスナップはこれにあたらないと今のところ考えられていますが、迷惑防止条例は親告罪ではないようなので、取り締まる側、警察が駄目といったら逮捕もありえます(現実にあるかどうかはともかく、可能性としては残ります)。

ちなみに、人を撮った写真で問題とされるのが肖像権です。
肖像権はパブリシティ権と人格権の2つに大別されるとされ、パブリシティ権の方は有名人はその顔だけでお金が稼げるので、有名人の肖像を勝手に使ってはいけないという内容で、一般人にはそれがありません。
このため一般人の肖像権はもっぱら人格権の方を指します。
人格権というのは、平たく言えば他人をバカにするな、という事です。
人格権は性的なことは問いませんので、写真に「こいつバカ」と一文を添えるだけでも人格権を侵害している恐れがあります。
恐れがある、というのは人格権の侵害は親告罪だからです。被害者が親告しない限りは、基本的に問題にされません。炎上はあっても、法的に問題になるかは別です。
この点において、人格権の侵害は親告罪ではない迷惑防止条例と決定的に異なります。
なので、人格権に配慮すれば、迷惑防止条例の違反にはあたらない、という考えはちょっと外れています。

この件に関するネット上の意見を見ると、性的であろうがなかろうが街中で写真を撮られたくないから写真を撮るのは駄目だ、という意見が少なからずあります。
確かにそれはわかるのですが、ウルライカが出来てから写真にはストリートスナップというジャンルが生まれ、数々の名作と呼ばれる写真作品が残されています。
こういった写真は人格権に配慮していても、撮影時点で写っているすべての人に了解を得ているとは考えづらく、そうであれば迷惑防止条例に抵触する可能性があります。
迷惑防止条例がなかった頃、撮れた写真は今では撮れないという可能性はありそうです。

荒木経惟、アラーキーの冬の旅・センチメンタルな旅の中には荒木が亡くなった陽子夫人の遺骨を持って写真があるのですが、これは電車内で撮られたものです。
電車の座席に座り、膝の上に遺骨をのせた荒木が立っている乗客の間から見える写真ですが、同じような写真を撮るには迷惑防止条例で立件される覚悟が必要になりそうです。

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