フォトコンテストで写真の加工はどこまでが許されるのか、どんな加工は許されないのか
2013年の大賞「ガザの葬列」でも加工が話題になりました。
世界報道写真の大賞受賞作にPhotoshop加工の疑惑
色の強調やコントラスト、影で暗くなった部分を明るくする、などの調整が行われたと考えられます。
亡くなった子供の遺体と、それを抱える親の怒りを対比し、わかりやすくするのが意図でしょう。
やり過ぎではないか?という意見で話題になったのですが、元々写真になかったものを加える、写真から取り除くというようなレタッチは行われていないことから大賞受賞はくつがえりませんでした。
報道写真として
【AFP記者コラム】報道写真の加工問題、芸術性と不正の境界
この記事によれば、色調やコントラストの調整、トリミングなどは問題なし。またセンサーについたゴミを取り除くことも認められています。
本来写っていないものを付け加える、取り除くことは禁止となっているようです。
写真特有の表現は?
長時間露光、多重露光などの写真特有の表現は認められるのか?HDRは認められるのか?
などの疑問がありますが、報道写真という枠においては避けるべきなのでしょう。
災害や戦争の写真などは、実際よりも被害が大きく見えるような加工が行われることもあるようですが、HDRのような写真を派手にする手法は避けるべきなのでしょう。
最後はRAWで確認
世界報道写真コンテストやナショナルジオグラフィックフォトコンテストでは入賞した場合、原版となるRAWの提出が求められます。
応募作品とRAWを比較して、これはイカンでしょ!となったらアウト、これくらいなら加工とは言えないからセーフ、最終的にはそんな感じのようです。
日本のフォトコンテストの場合
「風景写真」の誌上フォトコンテストに関するよくある質問にはこのように書かれています。
1. 異なる場面を合成したもの
2. 画面に写っていたものを消去すること(レンズのホコリや小さなゴミを除く)
3. 補正の範囲を超えた色彩の演出、変換。
4. 写っているものを部分的に焼き飛ばす、または焼きつぶすこと
5. 極端にトリミングされた作品
これらは過度なレタッチであり、NGというのがガイドラインのようです。
色の調整などはどこまでやっていいのか、という問題もあるでしょう。
Photoshopを使えば青い部分を赤くすることもできますし、もちろん別の色に変えることも可能です。「風景写真」のこのガイドラインでは「補正の範囲を肥えた色彩の演出、変換」は駄目ということで、非常にわかりやすいと思います。
日本のフォトコンテストでRAWを提出する、という規約はないんじゃないかと思いますが、いずれ大規模なコンテストはRAWの提出がスタンダードになるのかもしれません。
加工ではなく「やらせ」
世界報道写真コンテスト、賞を撤回 やらせ疑惑で物議
組み写真として応募された作品のうち1枚が添付された説明とは異なる場所で撮影されたことがわかり、受賞が取り消しとなりました。
記事では「やらせ」となっていますが、他の写真でも演出が過剰ではないか?という声があったようです。
写真表現としてはアリ
ドアノーの有名な「パリ市庁舎前のキス」は、いわゆるやらせ写真です。
写真だけを見ると、偶然撮れたかのような写真にも見えますが、何度かキスをしてもらい撮ったとされます。
やはり有名なブレッソンの水たまりの上を飛び越える写真、「サン=ラザール駅裏」もやはり何度も撮り直した写真で、やらせと言えるかもしれません。
ドキュメンタリーでも報道写真でもないので「やらせ」ではなく「演出写真」と呼ばれることが多いでしょう。
「演出写真」は報道ではご法度でしょうが、写真表現としては通常のコンテストなどでは問題ないでしょう。
一部例外も
ただし、植物や動物を使った「演出写真」は批判されることが多いような気がします。
植物ですと、花などに霧吹きを吹きかけて朝露のように見せる写真は、時間帯にもよりますが花を傷めるので、自生している野草などに霧吹きを使うのはマナー違反として嫌われます。
(実際のところは広く行われているような気がしますし、朝露なのか霧吹きなのか写真から区別することは難しいです。)
動物の写真でも「やらせ」ではないか?という話しは時々起こります。
自然の営みを捉えたかのような「演出」は写真表現として適切ではない、と考えるのが一般的です。
まとめ
フォトコンテストなどに出品する際は、それぞれの規定を見て確認する必要がありますが、RAWと比較して印象がまるで異なるような写真は、補正や表現の範囲を超える過度な作り込みと捉えられる可能性があります。
そういった可能性は写真のジャンルによって許容範囲が広くなったり、狭くなったりします。
報道、ドキュメンタリー、ネイチャーなどは許容範囲は狭いと考えるべきでしょう。
逆に許容範囲が広いと思われるジャンルには、色々な工夫や撮影技術を活かすことが出来るので、「演出」も技術の一つとして使ってみることも悪いことではありません。
最終的には個人個人の倫理観が頼りです。フォトコンテストに応募するのはお気に入りの写真でしょう。ケチがつかないようにしたいですね。
日経ナショナルジオグラフィック社
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